インプラント治療後の腫れや痛みについて
インプラント手術後は麻酔が切れると痛みを感じることがありますが、一般的に骨造成手術を行っていない場合は比較的軽いものです。処方された痛み止めを服用することで痛みは和らぎます。痛みの持続期間は個人差がありますが、通常は2~3日から1~2週間程度です。
また、インプラント埋没手術後は腫れることがありますが、ピークは術後2~3日後で徐々に治まり、1~2週間でほとんど元通りになります。痛みや腫れが長引く場合は感染の可能性があるので、医師に相談することが重要です。当院では術後の痛みをできるだけ抑えるためのマルチモダール鎮痛や薬の処方も行っております。
マルチモダール鎮痛
マルチモダール鎮痛は、複数の薬や治療を組み合わせて痛みを管理する方法です。異なる薬やアプローチを組み合わせることで、効果を高めつつ副作用を軽減できます。患者様の状態や痛みの原因に応じて最適な組み合わせを選び、痛みを効果的にコントロールします。
手術後の薬の処方
当院では、治療後に痛み止めの処方を行っています。インプラントの本数が多い場合や、顎の骨が薄い場合には骨造成手術が必要となることがあります。その際には、歯茎を切開する範囲が広くなり、手術後に痛みや腫れが出やすくなります。また、インプラント手術から1週間~10日程度で、手術で縫った部分の糸を抜くことになり、軽い痛みを伴うことがあります。
痛みや腫れを抑えるためには、痛み止めを服用することでこれらの痛みや腫れを抑えます。解熱鎮痛剤であるカロナールや抗炎症剤であるロキソニンが処方されます。
これらの薬を使用することで、痛みや腫れを和らげるだけでなく、体温の上昇も抑えることができます。適切な痛み止めの使用により、手術後の快適な回復を促すことができます。
対処法
手術後の痛みや腫れを和らげるために、歯科医院で処方された鎮痛剤を服用しましょう。術後3日目ごろには腫れがピークに達することがありますが、その際には濡れたタオルや保冷剤をつつんだタオルなどを用いて冷やすことが有効です。通常、術後の痛みや腫れは1週間程度で落ち着いてきますが、痛みや腫れがひどくなる場合は、直ちにご連絡ください。
インプラント治療後の注意
食事の注意点
インプラント手術後の当日は食事が可能ですが、麻酔の効果が残っている場合は注意が必要です。痺れや感覚の鈍さにより、粘膜を噛むリスクや熱いもので口をやけどする可能性があります。完全に麻酔が切れてから食事することが望ましいです。
また、切開部分の縫合糸が抜けると細菌感染のリスクがあるため、食事中に注意が必要です。食べ物が詰まらないように十分に気をつけましょう。さらに、手術側ではなく反対側の歯で噛むことも大切です。
術後に適した食事
インプラント手術後2~3日は柔らかい食事が適しています。おかゆやスープ、柔らかく煮込んだうどん、雑炊、ヨーグルト、ゼリー飲料など、噛む必要が少ない食品が良いでしょう。
特に両方の顎の骨にインプラントを埋入した場合やオールオン4などの場合は、このような食事内容が適しています。
控えたい食べ物とは
手術後の食事には気をつけましょう。硬いものや粘着性の食品は避けてください。アメや氷を噛むこと、ナッツ類や硬いパン類を控えるのが良いです。また、香辛料や刺激物も控えましょう。これらは口の中の組織を刺激して出血や腫れ、痛みを引き起こす可能性があります。酸っぱいものや甘いものも同様に、傷口を刺激しやすいため、手術後1週間ほどは控えめに摂取しましょう。
また、インプラント手術当日に仮歯を入れることもありますが、仮歯は取れやすいので、仮歯での噛みごたえは控えましょう。特に粘着性の強い食品や硬いものは避け、仮歯が取れたり割れたりするリスクがあることに注意してください。手術後は優しい食事を心がけましょう。
アルコールは控えめに
インプラント手術後は傷口の炎症や血管の収縮による出血の可能性があるため、手術当日を含めて1週間ほどはアルコールを控えることをおすすめします。
気を付けなければならないこと
インプラント手術後には食事だけでなく、他にも注意が必要です。日常生活の過ごし方がインプラント手術の成功に影響することがありますので、以下の点にも気をつけてください。
入浴、激しい運動は控える
シャワーを浴びることは良いですが、入浴は控えてください。また、激しい運動も避けましょう。これらの行動は血行を促進し、傷口の治癒に悪影響を与える可能性があるからです。傷口が適切に癒えるためには、適度な休息と傷口のケアが必要です。
タバコを控える
喫煙は、インプラント手術の成功に極めて重要な影響を及ぼします。タバコに含まれるニコチンは、血管を収縮させる作用があります。このため、顎の骨とインプラント体の結合に必要な血液循環が妨げられ、インプラントの安定性や成功率が低下する可能性があります。
さらに、喫煙は歯周病を悪化させる原因となり、口腔全体の健康にも悪影響を及ぼします。
歯みがきに注意
インプラント手術後は口腔内の衛生管理に特に注意が必要です。傷口が塞がっておらず、糸で縫合されているため、ブラッシングには慎重さが求められます。抜糸が終わるまでは食事とブラッシングの仕方に気をつけましょう。
また、人工歯を装着した後も入念なセルフケアが重要です。食べかすが残るとプラークが形成され、歯周病菌が増殖しやすくなります。インプラント周囲炎を防ぐためにも口腔内のケアに十分注意しましょう。
インプラントを長持ちさせるために
メンテナンスが非常に重要
インプラントの平均寿命は通常で言われているのが10年から15年程度ですが、実際には20年以上も問題なく使い続けている方もいらっしゃいます。この点で、入れ歯やブリッジよりも長期間利用できることが大きな利点です。
アメリカでは、一部の報告では40年以上も使用できるケースもあるようです。インプラントは劣化しにくい素材で作られており、むし歯にもなりにくいです。そのため、適切なメンテナンスを行えば、半永久的に使うことも可能です。
ただし、メンテナンスを怠ると周辺組織や骨が弱まり、インプラントが支えきれなくなる場合があります。こうした状況が続くと、インプラントが脱落する可能性が高まりますので、定期的なケアとメンテナンスが重要です。
インプラントを長持ちさせるためのポイント
定期的なメンテナンス
インプラントのメンテナンスを怠ると歯垢や細菌が増え、インプラント周囲炎を引き起こす可能性が高まります。この炎症が進行すると、骨が溶けてインプラントが不安定になり、最悪の場合には失われることもあります。
インプラント周囲炎は根本的な治療法がないため、定期的なメンテナンスが非常に重要です。定期検診で歯垢や汚れを除去し、適切なブラッシング方法を指導することで、インプラントの寿命を延ばすことができます。
正しいセルフケア
ご自宅でのセルフケアもインプラントの寿命に影響する重要な要素です。インプラントをブラッシングする際は、柔らかい歯ブラシを使用して丁寧にブラッシングし、歯と歯茎の間や歯周ポケットに溜まった汚れをしっかり取り除くために歯間ブラシやデンタルフロスなどを活用します。
これらのセルフケアが定期的なメンテナンスと合わせて行われることで、インプラントの寿命を延ばすことができます。
生活習慣の改善
噛む力が強すぎる、または歯ぎしりや寝相の癖があると、インプラントやインプラントと被せ物をつないでいるアバットメントが傷んだり緩んだりして、インプラントの寿命を縮める可能性があります。
定期的なメンテナンスと日常的なセルフケアが重要ですが、歯ぎしりがある場合は就寝時にマウスピースなどを装着することも大切です。これによって歯ぎしりの影響を軽減し、インプラントの寿命を延ばすことができます。
異変を感じたらすぐ診察を
インプラント治療後に周囲に痛みや腫れ、またはインプラントが不安定に感じる場合は、迅速に歯科医院を受診することが重要です。一般的に、インプラントの寿命は10〜15年とされていますが、これはあくまで目安です。異常や違和感を感じた場合は、その時点で歯科医に相談し、適切な処置を受けることをおすすめします。
インプラント保証について
インプラントの脱落や破折などのトラブルが発生した場合、その内容によっては保証を受けることができます。保証の期間や内容は個々のケースによって異なりますので、事前に丁寧に説明させていただきます。治療後に違和感や噛めない症状が生じた場合も、遠慮せずにご相談ください。
当院では、皆さまが快適にインプラント治療を受けられるよう、治療後のメンテナンスやサポートに力を入れています。
アフターケア | |
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3年以内 | 100% |
3~5年 | 50% |
5~7年 | 30% |
7~10年 | 20% |
10年以上 | 10% |